江戸時代に石炭が岩内地方で発見された時に始まり、町はさまざまなエネルギーの歴史を刻みました。人と社会が豊かで平和であるように… 今、未来にむかって新たなエネルギーを生み出しています。
再生可能エネルギーの一つである「水力発電」は、北海道では明治39年、岩内で初めて実用化され、稼働しました。当初「水から電気が出来るわけがない」「北海道は冬に水不足になるので適さない」という外部の反対意見が多くあった中、多くの町民の支援を受け事業は見事に成功し、町の中に電気が点りました。後にこの技術は全道各地へ広がります。誰もまだ始めていない前例のないことに果敢に挑戦、「ないものは一から作ればいい」という未来志向と豊かな発想力は、岩内人の誇るべき特質です。
明治時代からの繁栄を続けた町が、一夜にして焼き払われた「岩内大火」。昭和29年9月26日に発生した台風15号は、青函連絡船洞爺丸を沈没させ多数の犠牲者を出し、同日に岩内町に壊滅的な火災被害をもたらしました。家も船をも失った罹災者は1万7千人余。岩内は再起不能かと思われましたが、わずか数日後には焼け跡の仮小屋で商いを始める人の姿がありました。人々は前を向き、互いに助け合いながらわずか3年という脅威の速さで近代的都市を再建、現在の町並みに続いています。
岩内町では現在、いわない温泉のある円山地区で産出される、温泉熱エネルギーの活用に向けて検討を進めています。人と町の持続性のため、脱炭素社会の実現のために、自然との関わり方と地域の在り方を改めて問い直すことが、求められています。大自然の恩恵を受けるだけの一方通行型から、循環型へ。官民連携による「円山連携会議」の活動も本格化しており、「いわない温泉」はこの町の未来を温め、今日のたった一人のお客様をも温める温泉地として、進化を続けています。